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痛みの治療

 痛みは人間にとってつらい症状です。しかし痛みを感じることで更なる人体の危機にさらされないようにとの警告ともなっています。人は痛みが続く場合には病院で検査を受けようと考えるでしょうし、原因を知り痛みを取り除きたいと考えるでしょう。近年、西洋医学は医療機器の発展により、診断学の面ですばらしい進歩をとげましたが、残念ながらこの進歩に治療学は追いついていません。

 患者さんの中には病院で診断されたにもかかわらず痛みなどの症状が改善しないなどの経験をした方も多いと思います。最近の検査や治療は患者さんに苦痛を与えず、身体に悪い影響を与えない方法が主流となっています。手術をする場合もその基準は慎重になりましたし、患者さんと医師が共によかったと共感できる場合に決断されてきています。そのため特に老化現象が加わったご老人の場合や手術の結果が予測できない場合、検査で痛みの原因がはっきり特定できない場合などには、痛み止めなどの対症療法しか受けていないことが多いようです。

 ペインクリニックを受診していただきたいのはまさにこのような方々です。先に述べましたように痛みは警告反応ですが、多くの場合は警告の意味を理解した後には早く取り去ってもよいものです。痛みにより肉体的・精神的に苦しめられている方はぜひご相談ください。ペインクリニックではみなさんと相談の上、皆さんの立場を尊重しながら治療に当たります。

当ペインクリニックでは次のような病気の患者さんを治療しています

痛み 頭痛、頸部・肩の痛み、五十肩、急性腰 痛(ぎっくり腰)、椎間板ヘルニア、脊柱管 狭窄症、癌に伴う痛み、帯状疱疹に伴う 痛み、膝の痛み(変形性膝関節症など)、三 叉神経痛、線維筋痛症
麻痺 顔面神経麻痺、末梢神経麻痺
痙れん チック症、顔面痙れん、眼瞼けいれ ん、上肢痙縮、下肢痙縮
その他 自律神経失調症、アレルギー性鼻炎、 レーノー病、冷え性、メニエール病、 突発性難聴など

ペインクリニック

 ペインクリニックは、日本では1962年に初めて紹介された診療科です。 『様々な痛みの診断と治療を専門とする科』を指します。従来より麻酔科を標榜する医師が主体となり行っており、主に神経ブロック療法を用いて、身体におこる痛みの他様々な不定愁訴を治します。
ペインクリニックで行う神経ブロック療法は、従来の薬物療法や手術療法の及ばない病気に対して効果を発揮し、とくに老人などに多い慢性疾患や、西洋医学的治療では難治とされた不定愁訴にも適応性が高いなどの例が数多くあります。 ペインクリニックは第3の治療法として確立される可能性があります。

 ペインクリニックでは、主に神経ブロック療法を行いますが、その他、施設により東洋医学的治療や理学療法など、様々な方法を組み合わせて行います。それは患者さんは痛みを含めたいろいろな訴えと複雑な要因をかかえており、単一の方法ではなかなか治癒しないからです。痛みを起こす病気だけでなく、麻痺や痙攣、その他、血行障害に基づく病気、アレルギー疾患、ストレス由来の病気、自律神経失調症など、現代人の持つ多くの病気を対象に治療を行っています。この他ボツリヌス毒素注射による痙攣・痙縮の治療も行っています。

それでは神経ブロックとはどんなものでしょうか

 ブロック(Block)とは「遮断」という意味です。神経ブロックとは、薬物、主に局所麻酔薬を用いて様々な部位で神経の信号を遮断する事をいいます。使用する麻酔の濃度が薄い薬を用いれば、自律神経を麻痺させて、自律神経の行っている血行調節や筋肉の緊張、腸の動きなどを変化させることができます。濃度を濃くすれば、知覚神経がブロックされて痛みがとれます。特に硬膜外ブロックと言う手法を取りますと、更に濃度を上げることで筋肉が弛緩して筋の緊張が取れます。しかしこの場合は血管の緊張も取れるため、血圧が低下します。したがって硬膜外ブロックでは実施後30分程度横になっていただき、経過観察させていただいております。

なぜ痛みを取ることが治療になるのか

痛みの悪循環

 麻酔薬を使って痛みの部位を支配する神経の刺激を遮断すれば、痛みがとれるのは当然です。しかし痛みは人間の体におこった病気の危険信号ともいえるわけですから、これを取り去ることはかえって病気の本体をかくしてしまうことになるのではないかという疑問が湧くと思います。しかし痛みは下図のように「悪循環」とよばれる、血行障害に伴う病変部の乏血によって引き起こされる痛みが本来の痛みに加わって起こることが多いと言われます。ここで神経ブロックを行うことによりこの悪循環を断ち切り、生体ののもつ本来の自然治癒力を引き出し、治癒を促進すると考えられるのです。

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