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いびきの治療

 睡眠時無呼吸症候群という病気があります。眠っているときに大きないびきをかいていて、ピタッと静かになり、しばらくした後に大きく息を吸ってから再びいびきをかきはじめるということを繰り返します。本人は眠っていいるためわからないことも多いのですが、人によっては自分のいびきで眼が覚め、いびきをかいていたことを自覚することもあります。またイビキには気づきませんが、夜中にふと目が冷めてしまうことも多くあります。ひどい場合には夜中に胃液を吸い込んでむせて目が覚めることもあります。また夜中に何度もトイレに起きる人も多く見られます。患者さんの家族が気づいて、医療機関にかかるように勧めることが多く、この場合でも家族は怪獣のような大いびきがうるさいため、別室で寝ている場合がよくあります。また旅行に行って友人からいびきがうるさいと言われることもあります。患者さんの多くは日中の眠気があり、ときには耐え難い眠気のため失神するように眠ることもあります。特に単純作業を行っているときには眠気に耐えられず、眠り込むことが多くあります。単純作業の代表格である高速道路の運転では、眠気に耐えかねて居眠り運転→交通事故という例も多く見られます。

 睡眠時無呼吸症候群の特徴的な症状を示しましたが、要するにいびきをかくひとは睡眠時無呼吸症候群の可能性がかなり高いと考えられます。もちろん睡眠時無呼吸症候群の中には脳に異常がある人もおりますが、大多数はいびきを治療することで治療効果を上げられます。

睡眠と睡眠時無呼吸症候群

 睡眠は日中活動した脳と体の疲れをとるためのものです。睡眠時無呼吸症候群の場合、睡眠中にいびきをかくため、呼吸を十分できなくなり、低呼吸という状態になります。また完全に呼吸が止まる人も多く、この結果酸素をうまく取り込めず、また炭酸ガスをうまく吐き出せないといいう2つのことが同時に起こります。この結果体は酸素不足になり、また炭酸ガスが溜まって血液に溶け込むため血液が酸性に傾きます。酸素不足は体の交感神経を緊張させ、血圧が上昇します。この血圧の上昇は尿の産生量を増やします。このため尿意を催し眼が覚めるようになります。また血液が酸性に傾くため苦しいと感じてしまい睡眠が深くなりません。この結果いつもウトウトするような睡眠しか取れなくなり、十分に疲れを取ることができなくなります。このため日中に耐え難い眠気に襲われるようになります。

睡眠時無呼吸症候群の診断と治療

 日本の健康保険では、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断されると、まず簡易検査と言われる自宅で行う検査を受けます。簡易検査では無呼及び低呼吸の1時間の平均回数を測定することができます(無呼吸・低呼吸指数といいます)が、簡易検査で無呼吸・低呼吸指数が5以上を睡眠時無呼吸症候群といいます。そしてこの無呼吸・低呼吸指数が40以上(一時間平均で40回以上無呼吸・低呼吸が起こる)場合に治療を開始するということが日本の健康保険のルールです。それでは無呼吸・低呼吸指数が5から40までの人はどうするかというと、今度は終夜睡眠ポリグラフ検査という精密検査を行います。終夜睡眠ポリグラフ検査はかつては一泊入院する検査でしたが、最近は自宅でもできるシステムも開発されており、当院でもこれを利用します。この精密検査で無呼吸・低呼吸指数が20以上の場合は治療を開始するという基準も日本の健康保険のルールです。

 現在の睡眠時無呼吸症候群の治療法は持続陽圧呼吸療法(CPAP療法=シーパップ)という治療がゴールデンスタンダードとされており、今はこれしか無いのが実情です。

CPAP療法

睡眠時無呼吸症候群と基礎疾患、合併症

 睡眠時無呼吸症候群は肥満者にやや多く、このため生活習慣病の合併が多く見られます。特に睡眠時無呼吸症候群と肥満、糖尿病、高血圧症、高尿酸血症がある場合は「死の五重奏」ともいわれ、早死のもととも考えられます。このため当院ではこれらの生活習慣病の治療も行っております。

 また睡眠時無呼吸症候群を放置すると心房細動と言われる、脳梗塞を引き起こすことがある不整脈の合併頻度が上がります。脳梗塞は麻痺や認知機能低下などの重大な後遺症を残すため、非常に大きな問題になります。したがって睡眠時無呼吸症候群は早急に治療を開始すべき疾患です。更に道路交通法が改正されており、睡眠時無呼吸症候群の人が居眠り運転で事故を起こすと、最悪の場合は運転免許を取り消されます。

睡眠相の異常

 睡眠障害の中には睡眠相の異常、つまり体内時計が狂うために朝起きられない、日中起きていられないなどの症状が見られる方もおられます。一般的には睡眠相後退症候群と言われており、治療法としては眩しい光を浴びたり、ビタミンを内服したりする方法が有効と言われていますが、全く効果を得られない場合もあります。おそらくジェット・ラグと言われる病態も同様と考えられます。当院ではこれらに対しての治療も行っておりますので、ご相談ください。

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